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Freedom

Author:Freedom
元経営コンサルタント
専門分野:ヒト

マネジメントは、ビジネス書の知識を得るだけでは上手くいかないでしょう。
また、マネジメントは企業だけのものではなく、国家を含めあらゆる組織体や個人にとっても必須のものです。

日本の伝統から日本ならではの価値創造の源泉を知り、最新の自然科学からヒトの何たるかを知り、また科学的思考力を磨き、国内外情勢から立ち位置を知ることが重要だと思います。

勿論、基本はP.F.ドラッカー。

このブログでは、私が読んだ上記に関する書籍についてのレビューを紹介しています。

ご参考になれば幸いです。

Amazon殿堂入りレビュアー
(2017・2018)
2018/07/18、突然Amazon.co.jpが事前通知なく全レビューをBANしました。
2023年になり、別アカウントでAmazon.co.jpに一部再掲載を始めました。

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未来のリーダーへの手紙/ラム・チャラン



★★★★★

リーダーシップ=マネジメントの実践

著者は、一つの会社に10年以上という長きに渡り、また深く関与して、経営者をサポートするタイプの経営アドバイザーとのことです。また本書はそのような経営アドバイザーとして様々な企業に関与してきた経験を踏まえて書かれているとのことです。

そのような経営アドバイザーの書籍だからか、事例が単に豊富なだけでなく、深い洞察や長年の栄枯盛衰も含めて紹介されていますので、一つ一つの事例紹介が非常に有益なものとなっています。また、それらの事例を踏まえて整理された提言も、非常に価値あるものとなっています。

現場をほとんど知らない学者が書いたものや、関与が浅く短いコーチ、トレーナー、コンサルタントらの書いたものとはレベルが全く違います。

そのような本書の提言ですが、一言でまとめると『リーダーシップはマネジメントの実践である』ということになるのかと思います。

マネジメントやマネジャーとリーダーシップを無理矢理にでも分けて論じることで、新しさを醸し出そうとする書籍や文献をよく見受けるのですが(そしてこれらに対してずっと違和感を抱いてきたのですが)、本書の提言はマネジメントやリーダーシップについて、21世紀の企業を論じながらも原点回帰していると思われます。

まるで、ドラッカーの『マネジメント』を最新事例に置き換えたものではないか、という錯覚に陥りました。

リーダーシップに関する書籍は様々な著者のものを読んできましたが、本書及び著者はその最高峰に位置づけられるのではないかと思います。リーダーシップについて学ばれる方々にとっては必須の書籍ではないでしょうか。

人は原子、世界は物理法則で動く/マーク・ブキャナン



★★★★★

べき乗則で社会現象の解説を試みる

著者の『歴史の方程式(歴史は「べき乗則」で動くで再出版)』『複雑な世界、単純な法則』に続く「べき乗則」の本です。

本書では「べき乗則」を社会現象にあてはめ、(著者が選定した)社会現象は「べき乗則」で説明できるとし、様々な解説を試みています。

既存の社会科学の成果では社会現象をモデル化することはできないと結論づけ(いいすぎの感はありますが、確かに動的なモデル化はできていないようです)、物理学の知見である「べき乗則」を社会科学でも上手く活用すべきと提言しています。

実際に本書で提示された社会現象では「べき乗則」は上手く当てはまりますし、経済学ではブライアン・アーサーらが複雑系理論を取り入れることに孤軍奮闘していますので、社会科学の世界ではこれからもっと注目され、研究が進んでいくのだと思われます。

社会現象の複雑性はもともと人間の複雑性に起因するとされてきましたが(これからもそうだと思いますが)、人間の複雑性を持ちださずに説明できる部分があるのであれば、それはそれで秀逸な知見なのだと思います。


ただ残念なのは、社会現象が「べき乗則」で説明『できる』ことは説明していますが、『なぜ』「べき乗則」となるのかや、「べき乗則」を『いかに』政策に活かしていくのか、については説明がありません。
社会科学は社会現象を理解するだけでなく、よりよき政策を立案することも目的でしょうから、このあたりの解説が欲しかったところです。

それでも取り上げられた社会現象については見事に「べき乗則」でモデル化できているようですので、本書はそれだけでも価値あるものといえるでしょう。

CEOを育てる/ラム・チャラン



★★★★★

リーダー不足をシステマチックに解消するための処方箋

邦訳タイトルは『CEOを育てる』ですが、企業のあらゆる領域/階層でリーダー不足を解消するための方法が書かれた本です。

企業の生き残りにとってリーダー育成が不可欠であることを企業全体に浸透させ、次世代リーダー育成を既存リーダーのミッションとして位置づけ、包括的な仕組みを構築・導入し、一人ひとりのリーダー候補を丹念に時間を費やして育てていく、その方法/プロセスについて、既に実施しているグローバル企業の事例を提示しながら、分かりやすく解説しています。


率直な感想としては、リーダー育成を本気で考えている企業は、本気度に見合うだけの手間暇をかけて育てているんだな、というものです。

リーダーの要件定義では、教科書からそのまま引用したり、他社事例をまねたりしている企業が多い中で、自社の環境・戦略(の変化)に応じて何度も協議を繰り返しながら独自の要件を導き出しています。

またフィードバックでは、年に1度の人事評価フィードバックすらまともにできない企業/管理職が多い中で、一人のリーダー候補(1ポジションに数名)に対して複数のリーダーが協議しながら成果/プロセス/能力/性格を見極め、適性を見出し、何度もフィードバックを重ねてリーダーを育てています。

更にリーダー候補の配属においても、空きポストを待つのではなく、(企業全体の整合性は確保しつつ)育成に必要であればポストを新たに作ってでも配置し、育てています。最近は減っているとは思いますが、能力がないのに年功で昇格してしまった管理職のポストを作って組織も人材もだめにしてしまう企業とは正反対です。

まさにリーダー育成が経営戦略の主要な構成要素となっています(戦略実現の手段というよりも)。

リーダーが不足している、人が育たないと嘆いている企業は数多く見受けられますが、本書に登場する本気の企業ほどの努力をしているところはほとんどないのではないか、と思わされます。また本気でない企業には真似のできるような努力ではないと言えるでしょう。


なお、社内人材登用、徒弟制度、ゼネラルローテーションなど、日本企業が従前実施していたようなキーワードが結構でてきますが、質的には全く異なります。質的な違いを読み取ることができないと、本書のメッセージを間違って捉えることになりかねませんので、注意が必要でしょう。


プロフェッショナル・アドバイザー/デービッド・マイスター等



★★★

大事なことが書いてあるのだが。。。

クライアントの信頼を勝ち取るためには、クライアントの「理性」に訴えかけるようにコンテンツを考え抜いて提供すること(WHAT)だけでなく、クライアントの感情に訴えかけるようにコミュニケーションを配慮して提供すること(HOW)も大事である、と問いかけている本です。

コンサルタントにとってロジックが命であることは、コンサルタントの誰にとっても自明であるのですが、一方で人間が感情に支配されている生物である、という事実が疎かにされがちな状況下で、本書の提言は非常に重要なものだといえます。


しかし、以下の点で評価をかなり下げざるを得ませんでした。

先ず、考え抜かれたコンテンツを軽視しているかのような主張がかなり見受けられます。著者等は「そんなことはない」と本文中に断りを入れてはいるのですが、コンテンツを考え抜くことの重要さや難しさを十分に理解しているとはいえない表現が多々見受けられます。
著者等のビジネスが、コンテンツメインのコンサルティングファームを相手にしているため、コミュニケーションに特化することを差別化要因にしているのだろうとは思いますが、コンテンツ(理性)とコミュニケーション(感情)は双璧をなすものだと思いますので、それこそ著者等が訴えているクライアントへの配慮に欠けているのでは、と思わされます。

次に、本書で訴えていることをコンサルタント全員が高いレベルで習得すべきであり、また習得できるという、偏った主張がかなり見受けられます。プロセスコンサルティングやODといった、そもそも人の感情の対処に強みを持って勝負するコンサルタントであれば、本書を読まずとも実践していると思いますので、こちらはさておいて、戦略・組織・業務・制度の構築といった人の理性に強みを持って勝負するコンサルタントであれば、本書で提唱している内容についてはそもそもあまり得意では無い人たちが少なくありません(なので、ハード系のコンテンツを売りにするわけですが)。
人の能力の個人差の半分ぐらいは生まれ持った才能で決まりますので、ハード系が得意な人たちが本書で提唱しているものを全て習得することは困難ですし、一方で得意であるロジカルシンキングも限りある時間の中で磨き続けなければなりません。才能と時間という制約の中で人並みにするためにはここまで、といった段階的な習得プロセスがあればまだいいのですが、そのような提示は全くありません。ここもクライアント個々人への配慮に欠けていると思わされます。

更に、コンテンツを考え抜くコンサルティングファーム・コンサルタント向けに書かれている本にしては、本書の内容が構造化されていません。個々のパートではフレーム等を活用して説明して入るのですが、本書全体が論理的に考え抜かれて整理されたとはとても思えません。従って、かなり読みづらいものになっています。上記でコンテンツを軽視しているのではないか、とコメントしましたが、ここまでくるとコンテンツを考え抜いた経験がないのか、考え抜く力に欠けているのか、と思わざるを得ません。

そのうえ、読みづらさに輪をかけているのが翻訳の酷さです。文章として日本語になっていません。訳者は本書を日本に紹介したいという想いで訳書を出版したとのことですが(この意図自体は賛同します)、そうであるならば、また本書で訴えていることに共感しているのであるならば、翻訳にもっと磨きをかけて読者に信頼されるようにすべきだと想います。


といったように、残念なところが多々あり、評価を低くせざるを得ませんでしたが、これらに目をつぶれば、提言としては重要なことが結構提唱されていますし、習得できるのであれば習得したほうがよいものばかりです。フラストレーションをためる覚悟を持って読まれるのであれば、得るものは少なくありません。



人生に必要な遺伝50/マーク・ヘンダーソン



★★★★★

遺伝学・進化学についての質の高い教養書

遺伝学・進化学など、遺伝に関する様々な科学的知見や論点を幅広く集めています(50のトピック)。また、簡潔にわかりやすく整理されています(1トピック10ページ以内)。従って基礎知識を得るための教養書としては質の高いものに仕上がっていると思います。

この領域においては、海外では、科学者(リチャード・ドーキンスなど)やサイエンスライター(マット・リドレーなど)が、一般読者向けに、情報の質を落とさずに分かりやすく著した書籍を幾つも出版しています。本書もその中の一冊になるのだと思います。




人的資源管理論のエッセンス/ロバート・L・マティス





アメリカの人事管理担当者の入門書レベル

人材マネジメント(Human Resource Management)のKFSではなく、人事管理(Human Resource Administration)の作業概略です。

アメリカでの人事作業を知りたい方には役に立つとは思いますが、日本において人材マネジメントの最新課題を検討している方々には全く役に立ちません。

どちらかといえば、先進的な企業においてはアウトソーシングされてしまうような作業レベルの概要をだらだらと書いている本です。

人材マネジメントで悩んでいる方々には、デーブ・ウルリヒ『MBAの人材戦略』ラルフ・クリステンセン『戦略人事マネジャー』を読まれたほうがいいでしょう。


あと訳がひどいです。単語については英語が併記されているのでわかりましたが、併記されていなければわからないものが結構あります。訳者は人材マネジメント領域の素人なのでしょう。また、文も日本語になっていません。訳者は日本語も英語も堪能でないのでしょう。


これでこの値段は高すぎです。

マッキンゼー式世界最強の問題解決テクニック/イーサン.M.ラジエル





レベル低すぎ

内容としてはA4数枚で済む様な初歩的なロジカルシンキング手法を、よくもこれほどわかりづらくだらだらと書けるものだと思います。

ロジカルシンキングを紹介するのであれば、内容をもっと吟味して、図表を多用して、整理して書いて欲しいものです。

目次だけを見れば上手く整理されているのですが、中身は全くプアです。

『マッキンゼー式』とありますが、マッキンゼーに3年しか在籍せず、しかもパートナーでもない人が書いた本が、このようなタイトルで売られてしまうことに違和感を感じざるを得ません。

また『世界最強』とありますが、世界最低の間違いではないでしょうか。

読む価値は全くありません。

たまたまロジカルシンキングを人に教える機会がありましたので、書棚に眠っていた本書を引っ張り出して読み直したのですが、あまりに酷かったので捨てました。

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